大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)719号 判決

被告人 根本三郎

〔抄 録〕

原判決が賍物故買の事実を判示するに当り、売主を佐々木某(原判示第三の(1))伊藤某(同(4))又は氏名のわからぬ男二人(同(5))と判示するに止まり、その各氏名を明示せず、また、買受価額を全然判示していない(同(1)乃至(5))ことは、所論のとおりである。然しながら賍物故買罪は、賍物を、その情を知りながら売買その他の有償行為によつて取得することによつて成立する犯罪であるから、その事実を判示するについては、目的物が賍物であること、その情を知つて他人からこれを有償取得したこと、その日時、場所、目的物の種類、数量等を掲げてこれを他の行為と識別特定し得る程度に記載すれば足り、相手方の氏名を証拠上明認し難い場合は、その姓、名、又は通称のみにより、若しくは氏名不詳者として、これを表示するも違法ではなく、また、対価の価額の如きは必ずしもこれを表示することを要しないものと解すべきところ、原判決の事実摘示は、叙上説示の如き事項をすべて表示していて各行為を特定するに妨げはないからこれが記載を以て賍物故買の事実摘示として欠けるところがないものと言わねばならない。而して、被告人がその都度、賍物たることを認識していたこと、その他原判示各賍物故買、並びに賍物寄蔵の事実は、原判決挙示の証拠により優にこれを認めることができ、記録を精査するも、原判決には、毫も判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認又は理由不備の違法はない。論旨はすべて理由がない。

(三宅 河原 遠藤)

註 本件破棄は量刑不当。

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